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◆経費とはなんでしょうか?◆  ~~経費の支払いは得か損か~~

2019年9月10日

このサイトのブログでは、これまで会社設立にまつわるさまざまな事柄を、弊法人のスタッフが分担して掲載してきました。今後は、会社の利益や税金を計算する場合の重要な要素となる「経費」についての記事を掲載していきます。

今回は、そもそも経費とはどういうものなのかについて記述いたします。
経費とは、一種のお金の支出であることはおわかりかと思います。お金を支払った場合、それが「経費になる」方がお得なのでしょうか?

食事などをした後、会計の時に「経費にするからいいよ」とか「経費にできるから大丈夫」などと言うことがあると思います。これらの言葉は、飲食代が「経費」になることはお得だという意味で使われています。どうして、飲食代が経費になるとお得なのでしょうか?
この場合、「経費にする」とか「経費にできる」という言葉は、支払った飲食代は、一旦は自分の財布から出ていくものの、後で会社(サラリーマンの方なら勤め先、企業オーナーの方ならご自身の経営する会社)から補填してもらえるという意味で使われています。個人としては、自分の財布が痛まないので経費にできるとうれしいということになります。

それでは、このような場合、会社としてはこの飲食代を「経費」として支払うことは得になるのでしょうか?

飲食代を支払うと、手持ち資金が減少するわけですから、会社はお金支払うこと自体では得はしません。ただし、一緒に食事をした人が会社の役職員であれ、取引先のひとであれ、相手と良好な関係を築くこと等により、将来、その相手が会社の経営に協力してくれるようになるはずです。このことが将来の収益獲得に貢献すると期待できるので、会社は飲食代を支払ってくれるわけです。

経費の支払いは、会社の収益獲得に貢献するという意味で、会社にとって一種の「得」になるわけですが、経費を支払うことでもっと直接的に会社として得をすることがあります。それは、経費を支払うことで、会社の利益に対する税金を減少させることができることです。税金の支払いは少ないほど得なわけですから、そういう点でも経費の支払いは会社にとって「お得」なわけです。私は、このことが経営者の方の経費についての判断を誤らせることがあると感じています。

会社の税金の計算のしかたを簡単に示しますと、
1)収益 - ( 原価 + 経費 + 損失)= 利益
2)利益 × 税率 = 税金
のように計算されますから、経費を多く支払うほど税金を少なくすることができます。

このため、経営者の方は、自身の個人的な支出とはならず、かつ、会社に節税効果が発生する経費の支払いを、なんとなくお得だと考えがちです。儲かっている会社の経営者の方ほど、そのように考えていしまします。経費を多く支払うと税金が少なくなりますから、節税の観点だけで考えると、経費は多いほうが得のように思えます。しかし、節税効果についてもう少し詳しく考えてみると、経費の支払いが必ずお得ともいえないことがわかります。

当たり前のことですが、経費を支払うことで節約できる税金は、経費の支払いによって減少する利益に税率をかけた金額です。節約できる税金は、支払う経費の2~3割程度の金額でしかありません。経費を支払ってその分税金を少なくした場合と、経費を支払わないで税金を多く払った場合を比較すると、前者のほうが支払う金額が多くなり、手元に残る資金は少なくなります。必ず必要となる支出を少し早いタイミングで支払う、というようなことであれば、税金の支払いを遅くするという点で確実に意味がありますが、節税のために余計なものを購入等してしまうと逆に損をする結果になります。

単純に「経費支払い = 節税できてお得」とは考えずに、節税効果勘案後の実質支出が本当に必要な、つまり、本当に収益獲得に貢献してくれるかどうか、よく吟味して支払いをする必要がある点を認識していただきたいと思います。

また、会社の収益獲得に貢献する支払いであっても、支払った金額の全額が直ちに経費とならないこともある点にも注意が必要です。
会計処理にも税金の計算にも、お金を支払ったことで得られるものが長期間にわたって使用できる場合、支払った金額をその使用可能な期間に渡って分割して経費とするというルールがあるからです。

支払った金額の2~3割の節税ができると思って会社の収益獲得に貢献する物を購入したのに、長期にわたって使用することができる物であったため、たとえば支払った年度には支払金額の2割程度しか経費にできなかった、その経費になった金額の2割(=支払金額の4%)程度しか節税できなかった、などと言うこともあります。節税効果を勘案して経費払いをする際には、支払い時に全額経費になるのかどうかも確認しておく必要があるわけです。

どのような場合でも必ず「経費支払い = お得」とはならないことがご理解いただけたでしょうか?
お金を支払う際は、その支払いは本当に収益獲得に貢献するのか、どの程度の節税効果があるのか、いつ頃節税効果が生じるのかなどを冷静に検討していただくことをお勧めいたします。

みなさんのお役にたてば幸いです。


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