減価償却は会社のほうがおトク!?
日増しに気温が暑くなってまいりましたが皆さまいかがお過ごしでしょうか。
今回のブログでは減価償却は会社の方がラク!?
個人事業の場合と会社の場合の減価償却の違いをご説明いたします。
個人事業の方も法人の方も、経理を行う上で「減価償却」の考え方を理解しておく必要がございます。
建物や車、機械装置などは、一回きりの使用ではなく、長期にわたって使用されます。
そういった資産を「減価償却資産」といいます。
これらは、一度の使用で価値を失うのではなく、一定期間の使用に伴って徐々に価値を失っていくため、それぞれ定められた期間のあいだ、資産の購入資金の一部を費用として計上していくことになります。
この定められた期間を「耐用年数」といい、計上した費用を「減価償却費」といいます。
次に「減価償却費」の計算の仕方をご説明致します。
普通自動車なら6年、パソコンなら4年といった各資産ごとに「耐用年数」が決められています。
一般的には資産の取得価額(購入にかかった費用等)を耐用年数で割る方法が用いられます。
この計算方法に「定額法」と「定率法」がございます。
このどちらの方法を用いるかで差が生まれることがございます。
建物は個人・会社問わず「定額法」が用いられます。
一方、その他の資産については、個人事業なら「定額法」、会社なら「定率法」を用いると決められています。
普通自動車を例にとると、取得価額が240万円だった場合、
個人事業(定額法を用いる)の場合には、
この取得価額を耐用年数の6年で割るため、
240万円÷6年=40万円を毎年償却(費用とする)することになります。
他方、会社(定率法を用いる)の場合、耐用年数6年の一定率(0.333)で毎年償却することになります。
そのため1年目は240万円×0.333=79.9万円
2年目は(240万円-79.9万円)×0.333=53.3万円
を償却することになるため、毎年40万円を償却する「定額法」よりも早い段階で多くの額を費用とすることができます。
6年経過したときの最終的な費用の総額は「定額法」でも「定率法」でも同じとなります。
しかし、「定率法」のほうが早い段階で多額を費用とできるため、利益が出ている場合には、
節税効果が大きくなります。
また、個人事業では減価償却費の計上は義務(強制償却)となりますが、
会社の場合は、その年度の減価償却費の限度額までの範囲で、自由に減価償却費を計上することが認められています(任意償却)。
そのため、先ほどの例の場合、
個人事業の場合は必ず40万円の減価償却費を計上する必要がありますが、
会社の場合、79.9万円を上限として全額でも半額でも0円でも、計上する額を選択することができます。
この点を利用すれば、会社の方が会計期間中の損益計画をより柔軟に検討できます。
※全額計上すると赤字になる場合は、一部だけを計上して利益を出すことも制度上認められていることになります。
よって、減価償却の面でみると、会社は個人事業よりも有利と言えます。