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会社設立が得か損か?事業の利益で判断しましょう!

2019年5月21日

当ページのブログでは、私たちスタッフが会社設立をお考えのみなさんのお役に立つ情報を提供していますが、前回まで数回にわたり、会社を作るメリット・デメリットについての記事をアップしてきました。

会社設立のご相談の対応をしていますと、個人事業と会社での事業ではどちらが得なのかというご質問をいただくことが多くあります。個人事業と会社での事業を比較すると、取引先からみた信用の良否、従業員からみた安心感、資金調達の容易さなど、さまざまな違いがありますが、今回は税金の負担の面についてのみ、特に、事業の規模に着目した場合、個人・会社のいずれが得になるかの判断基準の概要について書きます。

一般論として、税金の負担の面では、事業規模が大きいと会社を設立する方が得になり、事業規模が小さいと個人事業の方が得になるということを耳にすることが多いかと思います。個人に対する税金と会社に対する税金を比較すると、事業規模の大小が税負担の重さに与える影響に違いがあることがその理由です。この点について、もう少し詳細にご説明します。

個人と会社の儲けに対して課税される税金は概ね次のようになります。
<個人の場合>・・・所得税・住民税・事業税・消費税
<会社の場合>・・・法人税・法人住民税・法人事業税・消費税
(消費税は、正確には儲けに課税されるものではありません)
ご承知のとおり、個人に課税される所得税は累進課税(所得が多い人ほど高い税率で税金が課される)となっていますが、会社に課税される法人税は所得が多くても少なくてもほぼ同じ税率が適用されます(会社についても一定の場合は軽減税率が適用される部分があります)。個人事業と会社の税負担率を比較しますと、「個人の最小税負担率 < 会社の税負担率 < 個人の最高税負担率」というような構造となっています。このため、事業のサイズが小さい場合は、個人事業の方が得で、規模が大きくなると会社を設立した方が得だとなるわけです。

個人事業の場合、事業の儲けはすべて自分の物ですが、会社を設立した場合、事業の儲けは会社からの給与の形式で受け取ることで自分のものにするのが一般的です。事業のサイズが大きく、税金面のメリットを期待して会社を設立する場合、事業の儲けからどの程度の給与を受け取るか、逆に会社にどの程度の利益を残すかを調節することで、個人が受け取る給与に対する個人の税負担と会社に残る儲けに対する会社の税負担をあわせたトータル税負担を最小化することができます。また、事業に参加する家族等に対して給与を支払うことで、利益を分散させて一人あたりの給与を少なくして税負担を軽くすることも可能です(ただし、支払う給与の金額は、会社における立場や仕事の内容とかけ離れた金額とならないように配慮が必要です)。

そこで、どの程度大きな規模の事業であれば会社を設立する方が得になるのかの目安を考えてみますと、事業の利益が概ね5百万円~7百万円を超えると会社にする方が得になるケースが多いようです。ここで注意すべきは、会社規模は、予想売上高ではなく予想利益を判断基準とすべきことです。事業の内容によって利益率や経費の多寡は異なるため、売上高を基準に考えてしまうとミスジャッジになってしまう可能性があります。将来3~5年程度の売上・仕入・経費等をシミュレーションして予想利益を算出してみることで、会社を設立するのが得なのかどうかを判断することができます。

以上、個人事業と会社設立を比較した場合の利益に対する税負担面での損得についての概要を記載しました。このほか、会社設立後2年間は消費税の納税義務が発生しないことが多いため、既に個人事業を行っておられる方が法人成りを検討するケース等では、この消費税の免税メリットも考慮するとよいでしょう。

会社の設立をお考えの方からのご相談に対しては、上記のような税負担の損得について、より具体的なご説明をさせていただいております。阪神間で会社設立をお考えのみなさまのお問い合わせをお待ちしております。

税理士法人西川オフィス神戸


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