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家族に給料を払うなら

2023年3月31日

個人事業から法人成りした方が得なのか損なのか。これは何に主眼を置くのかによって判断は異なりますが、今日は税金面、それも給料の払い方による税金の違いをご説明したいと思います。

◆税額のシミュレーション

まずは個人と法人の税金を計算してみますが、話を分かりやすくするため社会保険や扶養控除などは無視したうえで儲けに対する税金(所得税・住民税・個人事業税・法人税等)のみ計算します。
前提として、今はご主人が個人事業をしていて奥様に専従者給与240万円を払ったうえで年間600万円の利益があるとします。
この場合の税金はこうなります。ご主人の所得税約68万円、住民税約56万円、個人事業税約16万で計140万円。奥様は所得税約6万円、住民税約12万円で計18万円。お二人合わせて約158万円です。

ではこれが法人成りするとどうなるのか。前提は先ほどと同じですが、ご主人に給料600万円を払い法人の利益は0円とします。
この場合の税金はご主人は所得税約35万円、住民税約40万円、個人事業税はかかりません。奥様はかわらず約18万円。法人は利益がなくとも約8万円の税金がかかりますので、すべて合わせて約101万円です。
なんと158万円-101万円=57万円も法人の方が得という結果になりました。

 

◆ポイントは給与所得控除

中身は変わらないにもかかわらず税金に差が出る原因は「給与所得控除」という制度にあります。
給与所得控除とはいわばサラリーマンの必要経費です。個人事業主であれば事業にかかった支出は経費として収入から引く事が出来ますが、サラリーマンは税制上そのような事が出来ません。しかしサラリーマンとてスーツやカバンなど経費は掛かっているのです。そこで給料の額に対して一定の割合を経費とみなして自動的に引いてくれる制度、それが給与所得控除です。
先ほどの給料600万円の場合では164万円もが給与所得控除として引き算されていました。そのために税金が低く抑えられたのです。

 

◆税率の差も影響ありますが・・・

なお所得税は累進課税制度となっていますので所得が多いほど税率が高くなります。そのため自身を含め家族に給料を払う時、片一方の給料を高くしてもう片方を低くするよりも、なるべく均等にした方が税率が抑えられる分税金が低くなることもあります。先ほどの例ではご夫婦二人とも給料420万円にすれば一人につき所得税約15万円、住民税約25万円なので合計88万円となり更に税金が低くなります。しかし1人は俗にいう扶養の範囲内で給料を貰うようにした方が税金を抑えられるケースもありますのでそこはケースバイケースです。

 

◆法人がある方が取れる手段が増える

最後に極端な例を挙げますが、利益が1億超など高額になってくると所得税住民税合わせて税率50%超にもなります。対して法人税等は約33%ほどですので、個人に給料を支払うよりも法人に利益を残した方が税金が少ないというケースもあります。
結局は状況に応じて最善の策を考える必要があるのですが一つ確かなことは法人がある方が打てる手が多いという事です。

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